コンビニのポスターに学ぶ、クレーマー化の防ぎ方

以前、私は、契約書内に解除事由を明記することで、相手方が『神様である?お客様』ではなくなる一線を画し、結果としてクレーマーを減らす効果があるという投稿をしました。

最近、同様の発想の光景を、街中でもよく見かけるようになりました。

コンビニエンスストアや飲食店などで見かける「カスタマーハラスメント(カスハラ)防止」や「モンスタークレーマー対策」のポスターです

「以上の悪質な行為に対しては、警察への通報や入店拒否などの法的措置をとります」

こうした強い文言が書かれたポスターが増えた背景には、単に「毅然とした態度を示す」ということ以上の、明確な実務的効果があります。
それは、「ここから先は、もう『お客様』としては扱いません」という一線を事前に明示している点です。

この一線が可視化されることで、客側に対しては強力な抑止効果を発揮します。同時に、現場で働く従業員にとっては「ここまでされたら拒絶していいんだ」という基準となり、精神的・肉体的な安全を守る機能を発揮しているのです。

契約書における「解除事由」は、ビジネスにおける防犯ポスターと同じです。
このコンビニのポスターと全く同じ効果を、継続的なビジネスにおいて発揮させるツールこそが、実は「契約書の解除事由」なのです。

契約書の中に、例えば「暴言、脅迫的な言動、または過度な不当要求があった場合、催告なしに直ちに契約を解除できる」といった条項を定めておくことは、まさにビジネスにおける防犯ポスターを貼る行為に他なりません。

相手方への抑止: 「一線を越えれば、即座に取引を切られる(=顧客ではなくなる)」というリスクを認識させる。

自社スタッフの保護: 理不尽な要求に晒された従業員が、我慢を強いられることなく、会社のルール(契約)に則って堂々と対応を打ち切ることができる。

契約書に解除事由を厳密に定めておくことは、単なる法的トラブルへの備えではなく、大切な従業員を守るための必須の危機管理だと言えます。

ここまで契約書による「防壁」の重要性をお話ししてきましたが、以前本当に依頼の少なかった弁護士として、最もお伝えしたい根本的な解決策は別にあります。

それは、お客様をクレーマーにしてしまう一因として、こちらの受け止め方や聞き方があるかもしれないという事実です。

実は、私事ですが、依頼者からの電話の全てがクレームのように感じていて、本当に無理難題言われて大変だ、電話をとりたくないとなった時期がありました。
今も、要求水準の高いお客様を複数抱えており、同じようなことを言われています。でも今では、私に期待して言っているのかもしれない。他の弁護士には言えないことも信頼して、期待して言ってくださっていると捉えています。

同じようなことを言われても、受け止め方や聞き方が変われば、解釈が変わります。
対クレーマーのような対応をすれば、クレーマーの言うことにしか聞けませんし、怖くて提案もできません。
でも、少し激しい言葉であってもその裏にはその方の苦悩があると思えば、その苦悩を和らげるために提案もできます。

全ては気持ちの持ち様ではありますが、とは言っても限界はありますし、その限界も人によって個人差があります。だからこそ、人を守り、人を悪にしないために、先述したポスターのような、大切なひとを守る契約書が必要です。大切な人「従業員」、「お客様」、「取引先」を守るためには、契約書が必要であり、その契約書がポスターのように力を発揮し、大切な人を守ってくれます。

最終的には、人と人との心が繋がりあった関係性を重要視したいですが、世の中にはどうしてもそれだけでは解決できない事象も出てきます。そのような時のために、契約書は必ず備えておきましょう。


「ソフト面とハード面、両輪でのアプローチを」
最後にまとめになりますが、ビジネスにおいて、顧客との信頼関係を築くための受け止め方や聞き方を更新するソフト面の対策は不可欠です。しかし、それだけで100%のリスクを防げるわけではありません。

だからこそ、意識改革を進めるとともに、万が一の際に会社と従業員を守る契約書の見直しというハード面の対策を進めることが必要になります。

自社の契約書が、従業員を守る盾として機能しているか不安な方、あるいはどこまでを解除事由にすべきかとお悩みの方は、ぜひ一度、和敬法律事務所までご相談ください。
貴社のビジネスの実態に即した、最適な「一線の引き方」を共に考えてまいりましょう。
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