この記事はタイムシェアの権利放棄について、元裁判官、今、弁護士の稲吉大輔が解説します。

稲吉 大輔 - 弁護士 –
・元裁判官
・現弁護士
・大阪弁護士会所属
元裁判官だからこそわかる、トラブルになる前の対策に強い弁護士。
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- タイムシェアの管理費が毎年数十万円かかり負担になっている
- 解約を申し出たが運営会社に断られた
- 売却したいが買い手が見つからない
- 使わないのに維持費だけかかり続けている
- 相続で引き継いだが使う予定がない
- 管理費を滞納してしまっている
こんな悩みを抱えていませんか?タイムシェアの権利放棄は、適切な法的手段を使えば実現できます。
どうやってタイムシェアの権利放棄ができるのかという基本はもちろん、返却や譲渡についても解説。
また、ブランド別の難易度、権利放棄が難しいケースやその理由まで徹底的に解説しますのでぜひ、参考にしてください。
和敬法律事務所では、タイムシェアの権利放棄・解約のお手伝いをいたします。
お困りの方はお問い合わせフォームからお問い合わせください。
目次
タイムシェアを権利放棄する3つの方法
タイムシェアを手放す方法は主に3つあります。それぞれの特徴を理解して、最適な方法を選ぶ必要があります。
3つの方法の特徴を比較の表にまとめましたので、参考にしてください。
| 方法 | 成功率 | 期間 | 費用負担 |
|---|---|---|---|
| ① 運営会社との解約交渉 | 中〜高 | 3〜6ヶ月 | 弁護士費用のみ |
| ② 第三者への譲渡・売却 | 中 | 3〜12ヶ月 | 弁護士費用+仲介費 |
| ③ 返却プログラムの利用 | 低〜中 | 6〜12ヶ月 | プログラム費用 |
運営会社との交渉が最も確実な方法です。一方、返却プログラムは利用条件が厳しく、実際に使えるケースは限られます。
以降では、それぞれの方法について詳しく解説します。
運営会社との解約交渉
弁護士が法的根拠を示して交渉し、無償返還を目指す方法です。
交渉の流れは以下の通りです。
- 契約書の法的問題点を分析
- 消費者契約法等の適用可能性を検討
- 運営会社に対し書面で解約要求
- 交渉がまとまれば解約合意書を締結
成功のポイントは、契約書に不当条項がないか、購入時の説明義務違反がないかを精査することです。
主なポイントを以下の表にまとめました。
| ポイント | 詳細 |
|---|---|
| 契約書の不当条項 | 一方的に不利な条項があれば無効主張ができる |
| 説明義務違反 | 購入時の説明不足があれば契約取消ができる可能性がある |
| 消費者契約法 | 不当な勧誘があれば取消権を行使する |
元裁判官弁護士だからこそ、訴訟リスクを正確に判断し、運営会社が応じやすい交渉戦略を立てられます。
第三者への譲渡・売却
専門業者や個人への名義変更をサポートする方法です。
タイムシェアの中古市場の実態は厳しく、購入価格は500万円〜2,000万円でしたが、現在はほぼ0円〜数十万円になっており買い手がほとんど見つからないのが現実です。
弁護士として以下の内容でサポートができるため「譲渡や売却ができる当てがあれば弁護士を利用するという選択肢を採ることをおすすめします。
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- 名義変更の法的手続きを司法書士と連携
- 売買契約書のリーガルチェック
- トラブル防止のための契約条項の精査 ・譲渡先との交渉・調整
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名義変更には専門的な手続きが必要です。弁護士に依頼すれば、確実に権利を移転が可能です。
返却プログラムの利用
一部のタイムシェア会社は公式の「返却プログラム」を用意しています。主要ブランドの返却プログラム状況は以下の通りです。
| ブランド | プログラム有無 | 条件 |
|---|---|---|
| ヒルトン(HGVC) | あり(一部) | ローン完済・滞納なし |
| マリオット(MVC) | あり(限定的) | 所有期間・利用状況による |
| その他 | ほぼなし | 個別交渉が必要 |
返却プログラムは極めて限定的で、多くの場合は利用できません。利用可否の判断には専門家のアドバイスが必要です。
タイムシェアの権利放棄(解約)が難しい理由
こちらでは、タイムシェアは簡単に手放せない理由を解説します。
契約上・登記上の法的障壁
タイムシェアは一般的な不動産とは異なった権利の構造があります。法的な障壁の具体例を以下の表にまとめました。
| 障壁 | 内容 | 影響 |
|---|---|---|
| 共有持分 | 複数人で不動産を共有する権利 | 他の共有者全員の同意が必要 |
| 利用権契約 | 不動産所有権ではなく利用権のみ | 共有持分権放棄が使えない |
| 海外登記 | 外国法に基づく登記 | 日本の手続きだけでは完結しない |
「共有持分」や「利用権」という特殊な権利形態のため、通常の不動産のように処分できないのです。
運営会社の解約拒否
運営会社は解約を認めない姿勢で対応してくるのが基本です。運営会社が解約を拒否するのには主に以下の理由があります。
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- 管理費収入が会社の主な収益源(解約されると経営に影響)
- 契約上「解約条項なし」が一般的(法的に解約義務がないと主張)
- 解約を認めると連鎖解約のリスク(他の所有者も次々解約を求める)
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弁護士介入の効果は大きく、法的根拠を示した請求により、運営会社が交渉のテーブルにつく可能性が高まります。
売却市場の不成立
タイムシェアの中古市場はほぼ機能していません。タイムシェアの権利放棄のために売却をするというのが困難な理由は以下の通りです。
| 理由 | 詳細 |
|---|---|
| 供給過多 | 手放したい人ばかりで買い手がいない |
| 高額な管理費 | 年間50〜150万円の維持費が買い手を遠ざける |
| 利用価値の低下 | コロナ後の旅行スタイル変化 |
| 為替リスク | 海外物件は為替変動のリスクあり |
以下に実際の売却事例を紹介します。
◼︎ハワイ・ヒルトンのケース 2010年の購入価格は1,200万円だったが、売却希望価格を100万円に設定。実際の売却価格は2023年の20万円で着地した。
◼︎フロリダ・マリオットのケース 2015年の購入価格は800万円で、売却希望価格を無償でも可としたが、結果的に買い手が見つからなかった。
タイムシェア管理費を放置する2つの法的リスク
こちらでは、タイムシェア管理費を放置する2つの法的リスクを解説します。
未払い管理費・固定資産税の遅延損害金と訴訟リスク
放置した場合、リスクは時間とともに拡大します。時系列で見るリスクの拡大は以下の通りです。
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- 3ヶ月目:督促状が届く
- 6ヶ月目:遅延損害金が発生(年14.6%程度)、内容証明郵便で催告
- 1年目:法律事務所から通知、訴訟提起の予告
- 1年半〜2年:訴訟提起、裁判所から訴状が届く
- 判決後:強制執行(給与・預金の差押え)、自宅等の財産差押えの可能性
金銭的な負担増加の例を見てみましょう。
| 項目 | 金額例 |
|---|---|
| 年間管理費 | 80万円 |
| 2年間の滞納 | 160万円 |
| 遅延損害金(年14.6%) | 約23万円 |
| 弁護士費用(相手側) | 30〜50万円 |
| 合計請求額 | 約230〜250万円 |
放置すればするほど請求額が膨らみ、解決が困難になります。
相続放棄しても残る「共有持分の管理義務」
「相続放棄すれば大丈夫」は誤解です。
相続放棄をした場合でもタイムシェアの管理義務は残り、次の相続人が現れるまで管理責任があるケースも。
そうなると、管理費の支払い義務が継続する可能性があります。
相続放棄とタイムシェアの関係を以下の表にまとめました。
| 状況 | 管理義務 | 管理費支払い |
|---|---|---|
| 相続放棄前 | あり | あり |
| 相続放棄後 | 原則として残る | 場合により残る |
| 次順位相続人が承認 | 移転 | 移転 |
| 全員が相続放棄 | 複雑な問題に | 複雑な問題に |
元裁判官弁護士の視点では、民法940条の「相続財産の管理義務」がタイムシェアにどう適用されるかは複雑な論点になります。
子供・孫への相続で問題が長期化
放置すると問題は次世代へ引き継がれます。世代を超えた負担の連鎖を見てみましょう。
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- タイムシェアに年間80万円の管理費負担、使わないが手放せない
- その後相続発生
- 子の世代に突然の管理費請求、仕事・子育て中で対応困難、さらに放置
- その後さらに相続発生
- 孫の世代にはついに滞納金が数百万円になり訴訟リスクが現実化
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早期解決が重要です。問題を次世代に残さないため、可能な限り早急に専門家に相談してください。
【ブランド別】タイムシェアの権利放棄の難易度
こちらではブランド別にタイムシェアの権利放棄の難易度と特徴を解説します。
ヒルトン(HGVC)タイムシェアの特徴
ヒルトンタイムシェアの基本情報は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Hilton Grand Vacations Club (HGVC) |
| 主な物件 | ハワイ、フロリダ、ラスベガスなど |
| 年間管理費 | 60万円〜120万円 |
| 契約形態 | ポイント制・固定週制 |
| 権利放棄の難易度 | ★★★☆☆(中程度) |
ヒルトン(HGVC)には公式の返却プログラムが一部存在しています。
また、第三者への譲渡手続きが比較的明確でありリセールマーケットが他社より機能している点も難易度が比較的低い理由です。
ただし、ローン完済必須であり、滞納がある場合は利用不可といった返却プログラムの条件が厳しい点は押さえておく必要があります。
ヒルトン解約の3つのルートを以下の表にまとめました。
| ルート | 成功率 | 条件 |
|---|---|---|
| ① HGVC公式返却プログラム | 低 |
|
| ② リセール業者への売却 | 中 | 購入価格の5〜10%程度で妥協 |
| ③ 弁護士による交渉 | 中〜高 | 法的根拠を示した解約請求 |
マリオット(MVC)タイムシェアの特徴と解約戦略
マリオットタイムシェアの基本情報は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Marriott Vacation Club (MVC) |
| 主な物件 | ハワイ、カリフォルニア、フロリダなど |
| 年間管理費 | 70万円〜150万円 |
| 契約形態 | ポイント制(Vacation Club Points) |
| 権利放棄の難易度 | ★★★★☆(やや困難) |
マリオット(MVC)は高齢・病気等で利用不可能な事情があれば権利放棄の可能性が出てきます。
マリオット(MVC)にも公式の返却プログラムがありますが契約上「終身所有」が前提であるため、権利放棄ができるのは極めて限定的です。
また、リセール市場がほぼ機能しておらず運営会社の拒否姿勢が強い点は難易度が高い理由になります。
マリオット解約の現実的な選択肢を以下の表にまとめました。
| 選択肢 | 実現可能性 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 無償譲渡 | 中 | 譲受人を見つけるのが困難 |
| ② 弁護士による法的交渉 | 中〜高 | 消費者契約法等の適用を検討 |
| ③ 訴訟提起 | 低〜中 | 最終手段・費用対効果を慎重に判断 |
マリオットは最も解約が難しいブランドです。弁護士による法的交渉が必須と言えるでしょう。
その他ブランドについて
主要ブランドの解約難易度を比較しました。
| ブランド | 難易度 | 特徴 |
|---|---|---|
| ヒルトン(HGVC) | ★★★☆☆ | 返却プログラムあり・譲渡可能性あり |
| マリオット(MVC) | ★★★★☆ | 解約が最も困難・法的交渉が必須 |
| ウィンダム | ★★★☆☆ | ヒルトンと同程度 |
| ダイヤモンドリゾート | ★★★★☆ | 会社の経営状況に注意 |
| その他中小 | ★★★★★ | 運営会社倒産リスクあり |
どのブランドでも対応可能です。まずはお気軽に和敬法律事務所までお問い合わせください。
弁護士に依頼すれば「確実に」「精神的な負担なく」手放せる
タイムシェアの権利放棄は弁護士に任せるのが最善の選択です。
弁護士に依頼するメリットを以下にまとめました。
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- 複雑な海外リゾート会社との交渉を全て代行
- 司法書士と連携したワンストップ解決
- トラブル化する前に問題を確実に解決
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海外のリゾート会社との交渉は、言語の壁だけでなく、法律や商習慣の違いもあります。弁護士が介入すれば、これらの問題を全て解決できます。
英語での法的文書作成、国際郵便での交渉、法的根拠を示した請求など、専門的な対応が可能です。
また、タイムシェアの権利放棄には、名義変更の登記手続き、相続税の問題など、複数の専門家の連携が必要です。
和敬法律事務所では、司法書士・税理士と連携したワンストップ対応が可能ですので都度専門家を探す手間はありません。
和敬法律事務所にタイムシェアの権利放棄を依頼する流れ
問い合わせから解決まで、4つのステップで進めます。
標準的な解決の流れは以下の通りです。
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- 無料相談(30分):契約内容の確認、解約可能性の判断、最適な方法の提案、費用の見積もり
- 受任・契約分析:タイムシェア契約書の法的分析、不当条項・説明義務違反のチェック、最も成功率の高い方法を選択
- 運営会社との交渉:内容証明郵便で解約請求、法的根拠を示した書面交渉、必要に応じて直接面談、和解条件の詰め
- 解約完了・名義変更:解約合意書の締結または譲渡契約書の締結、登記手続き(司法書士と連携)、管理費支払い義務の終了確認
無料相談では、解約可能性を正直にお伝えします。「難しい」と判断した場合は、その理由も含めて説明するので、納得した上で依頼を決められます。
手続きによって、解決までの期間は異なります。
| 手続き | 期間 |
|---|---|
| 運営会社との交渉 | 3〜6ヶ月 |
| 第三者への譲渡 | 3〜12ヶ月 |
| 返却プログラム利用 | 6〜12ヶ月 |
| 訴訟 | 12〜18ヶ月 |
多くのケースは交渉で解決します。元裁判官の交渉力により、訴訟に至る前に解決できることが多いのです。
タイムシェアの権利放棄は和敬法律事務所にご相談ください
タイムシェアの問題を放置すると、管理費の負担が続き、最終的には子供・孫に引き継がれてしまいます。
和敬法律事務所は、元裁判官弁護士だから訴訟にあたってのリスクを正確に判断できるのが一番の強みです。
複雑な海外リゾート会社との交渉を代行し、タイムシェアの権利放棄と相続問題、税務問題を一括で対応。
複数の専門家を探す手間がなく、トータルで最適な解決策をご提案します。
タイムシェアでお困りなら和敬法律事務所へご相談ください。
無料相談も受付中ですので、>>お問い合わせよりお問い合わせをお待ちしております。
タイムシェア権利放棄のよくある質問
Q1. 絶対に解約できますか?
100%の保証はできませんが、法的手段を尽くして最善の解決を目指します。
運営会社との交渉、第三者への譲渡など、複数の選択肢から最適な方法をご提案。業者の実態や証拠の有無によって解約可能性は変わりますが、多くのケースで解約または譲渡に成功しています。
Q2. 海外の会社でも対応できますか?
はい、ヒルトン・マリオットなど海外リゾート会社との交渉実績が多数あります。
英語での法的交渉も弁護士が代行。言語の壁、法律の違い、商習慣の違いなど、すべて対応可能です。
Q3. 相続放棄との違いは?
相続放棄は全ての財産を放棄する必要がありますが、タイムシェアのみを手放すことも可能です。
状況に応じて最適な方法をご提案いたします。
相続財産全体を見て、相続放棄すべきか、タイムシェアのみ処分すべきかを判断することが重要です。
Q4. 弁護士費用は管理費より高くなりませんか?
初回相談30分無料。着手金は30万円〜(案件により変動)、成功報酬は解決内容によります。
長期的な管理費負担(年50万円×30年=1,500万円)と比較すれば、費用対効果は圧倒的です。
無料相談の段階で、費用と解決見込みを明示しますので、納得してから依頼を決められます。
Q5. どのくらいの期間がかかりますか?
通常3〜6ヶ月程度です。
運営会社の対応状況や契約内容により前後します。
交渉で解決する場合は3〜6ヶ月、訴訟になった場合は12〜18ヶ月程度が一般的です。

稲吉 大輔 - 弁護士 –
・元裁判官
・現弁護士
・大阪弁護士会所属
元裁判官だからこそわかる、トラブルになる前の対策に強い弁護士。

