久しぶりに会った方から何か鍛えているんですかと聞かれて、最近、朝ジョギングしていますと答えました。
暇があれば行っているムエタイが出てこない理由を考えてみると、「鍛える」=苦行、ジョギング=苦しいという図式があると気づきました。ムエタイは楽しみでしているので、鍛えているという感覚がなかったのです。
対して、ジョギングは、試合に出るための減量で始めたもので、まだまだ楽しみになっていないことにも気づきました。
楽しい、嬉しい、喜び等は、大きなイベントや達成があったときに湧きおこってきます。
私の場合は、司法試験に合格した時、裁判官となった時、最高裁に勤務して金融庁に出向することとなった時など目標を達成した時でしょうか。
しかし、目標を達成した時の喜びは長続きしなかった印象です。
一つの目標を達成したら、次の目標を設定して、目標が達成できても、次の目標が達成できていないから不満足という人生を送ってきました。
でも、日常の中にある楽しいことや喜びは、見えていないだけで実は日常の生活の中であったり、日常の風景にもたくさん存在します。
金融庁での勤務は激務で大失敗してしまったもので、弁護士になってからも東京に行くと当時の事を思い出したりしていました。
でも、素直な心を持って、ここには何もないという思い込みを捨てたとき、ふと気づきました。
東京地裁に向かう日比谷公園で名もないプラタナスの木が初夏で精一杯、緑を伸ばしている姿を見て、この木は私が司法修習や金融庁に勤務していた時にもここに生えていて、その時も今も美しい葉を伸ばしていたんだと気付いて、心から感動した記憶があります。
今は、結果や目標だけではなく、その過程を大切にして生きているという実感があります。
裁判は勝ち負けという結果がありますし、勝訴という目標があります。
もちろん裁判を行う以上は、目標を達成することも大切です。
でもそれだけではなくて、本来ならばそれに加えて過程も大切にする。過程においても満足感が沸き起こることが大切だと改めて認識しました。
私たち弁護士の仕事のすべての過程は、ご相談のお問い合わせをいただいた瞬間から始まっています。裁判は、あくまでもその過程の最終段階に過ぎず、裁判に辿り着くまでの過程では、ご相談者と我々弁護士との大切な過程(時間)がたくさんあります。
そのすべての過程(時間)を大切にして、結果だけではなく、過程に意味を見出せた時、最終的な結果も満足するものになっていると信じています。
弊所では、ご相談者からお問い合わせをいただいた瞬間から、そのひとつひとつの過程を大切にして、ご対応させていただいております。勤務弁護士に限らず、事務員も含めてすべてのスタッフにとって、ご相談者とのひとつひとつの過程が「宝物」だと感じております。
稲吉法律事務所は元裁判官である稲吉が代表で、2名の女性弁護士もいる弁護士事務所です。
女性弁護士を指名できますので、男性弁護士に相談しにくい問題などは、何事もお気軽にご相談ください。
