リバースモーゲージでトラブルになった!事例・解決方法や弁護士に依頼するべきケースを解説!

この記事は、多くの係争事例を経験した元裁判官であり、現在、弁護士としてリバースモーゲージのトラブルに対応できる稲吉大輔が解説します。

クライアントの相談にのる弁護士

稲吉 大輔 - 弁護士 –
・元裁判官
・現弁護士
・大阪弁護士会所属
元裁判官だからこそわかる、トラブルになる前の対策に強い弁護士。

 

こんな方はいらっしゃるのではないでしょうか?

  • トラブルになっているけれど、リバースモーゲージって何?
  • 家が売却されると聞いて困っている
  • リバースモーゲージを契約した覚えがないのに契約したことになっている
  • 相続しようとしたら故人が借入していることが発覚した

こんな方はいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな方のために、リバースモーゲージのトラブル事例や、弁護士に依頼するべきケース、依頼する際の費用相場がわかります。
リバースモーゲージのトラブルの当事者には、契約者本人か相続する親族かさまざまで、置かれる状況が異なります。
網羅的に解説していますので、ぜひ、参考にしてください。
和敬稲吉法律事務所では、無料相談を受け付けておりますので、気になる方は お問い合わせフォームからお問い合わせください。

 

リバースモーゲージの基本的な仕組み

こちらでは、リバースモーゲージの基本的な仕組みを解説します

 

リバースモーゲージとは?

リバースモーゲージは、契約者が生存中は利息(または元本の一部)のみを支払い、契約者死亡時や契約期間終了時など、契約で定められた時期に担保不動産を売却することで借入金を一括返済する仕組みです。
自宅を担保に金融機関から借り入れを行う制度です。自宅という資産を有効活用して、老後の生活を豊かにするための選択肢の一つです。
この制度は、主に高齢者が自宅に住み続けながら、老後の生活資金を確保することを目的としています。
通常の住宅ローンが「借りたお金で家を買い、返済する」のに対し、リバースモーゲージは「持ち家を担保に、年金のように少しずつお金を受け取る」仕組みです。
契約者が亡くなった後、金融機関は担保の自宅を売却して、借り入れたお金と利息を一括で返済します。
ただし、契約者が亡くなった後も、相続人が自宅を売却せず、現金で借り入れ分を一括返済することも可能です。

 

似た制度にリースバックがある

リバースモーゲージと同様に、自宅を売却せずに住み続けながら資金を調達する方法に「リースバック」があります。
リースバックは自宅を不動産会社などに「売却」し、同時に賃貸契約を結び、家賃を払って住み続ける仕組みです。
自宅の所有権は買主である不動産会社などに移ります。
一方で、リバースモーゲージは、自宅を「担保」に金融機関から借り入れを行う制度です。自宅の所有権は契約者のままです。契約者は不動産の所有権を持ったまま借入れを行う点が、リースバックとは決定的に異なります。 それぞれの違いを以下の表にまとめましたので、参考にしてみてください。

項目 リバースモーゲージ リースバック
資金の受け取り 分割または一括(借入) 一括(売却)
所有権 契約者のまま 買主(不動産会社など)に移転
毎月の支払い 利息のみ、またはなし 家賃
家賃 所有者が負担 買主が負担
将来の可能性 相続人が現金で返済すれば自宅を残せる 原則、自宅を買い戻すことは困難

 

メリット・デメリットの違いは以下の通りです。

  メリット デメリット
リバースモーゲージ
  • 自宅を売却せずに、住み続けながら資金を得られる
  • 毎月の返済負担がない
  • まとまった資金を一度に借りることも可能
  • 金利が上昇すると、将来的な返済総額が増える可能性がある
  • 不動産価格が下落すると、借り入れ可能額が減る、または追加担保を求められる
  • 年齢制限や不動産の評価額など、厳しい条件がある場合が多い
リースバック
  • 自宅の売却代金として、まとまった資金を一括で受け取り可能
  • リバースモーゲージよりも年齢制限が緩い傾向
  • 税金の負担がなくなる
  • 自宅の所有権を失うため、将来自宅を相続する予定がある場合は不向き
  • 毎月、家賃を支払う必要が生じる
  • 家賃は売却価格に基づいて設定されるため、高くなる場合もある
  • 賃貸借契約の期間が定められている場合がある
  • 契約満了後に再契約できず、退去を求められる可能性がある

どちらの制度も、自宅という資産を有効活用する手段ですが、所有権の有無や資金の受け取り方法が異なります。ご自身の状況や目的に合わせて、最適な方法を検討することが重要です。

 

元裁判官が見た「リバースモーゲージ」のトラブル事例集

 

事例1:安価な査定額で契約させられた

リバースモーゲージのトラブルに、自宅の査定額が不当に安く設定され、利用者が希望する資金を借り入れられないというのがこの問題です。
金融機関が独自に設定する査定基準がわかりにくかったり、提携する不動産会社の査定が市場価格を反映していなかったりする場合に発生します。
場合によっては、契約を急かす悪質な業者によって、他社との比較検討の機会を奪われ、不当に低い査定額で契約させられるケースもあります。
提示された査定額を疑わずに契約したものの、後から「思っていたよりも融資額が少ない」「本当の価値より低いのではないか」といった不満を抱くケースが多いです。

◼︎トラブルを避けるための対策
      • 複数の金融機関に相談し、査定を依頼する
      • 査定額の根拠を明確に確認する
      • 専門家(不動産鑑定士など)に相談する

 

事例2:想定よりも長生きなので融資限度額に達した

リバースモーゲージは、自宅の担保評価額を上限に、年金のように毎月一定額を受け取る仕組みです。
しかし、想定よりも長生きした場合、融資限度額に達してしまうトラブルがあります。
限度額に達した時点で、それ以降の新たな借り入れはできなくなり、生活資金が枯渇するというのがこの問題です。
「長生きリスク」と呼ばれ、自宅に住み続けられるというメリットが、かえって生活を困窮させる原因になりかねません。

◼︎トラブルを避けるための対策
      • 90歳や100歳まで生きた場合のシミュレーションを立てる
      • 年間の生活費や医療費などを考慮に入れ、融資限度額の枯渇時期を予測しておく
      • 必要に応じて、毎月の受取額を減らすなどして、融資可能期間を延ばすように計画する
      • 預貯金や年金、個人年金保険などと組み合わせて老後資金を確保する
      • 契約内容の見直しオプションを確認する

 

事例3:覚えなく自宅が売却され、住む所がなくなった

リバースモーゲージは、契約者が亡くなった後に自宅を売却して、借り入れたお金を一括返済することが前提です。
同居している家族や推定相続人に情報共有されていない場合、「覚えなく自宅が売却され、住む所がなくなった」というトラブルになります。
契約者が勝手に契約したり、認知症により契約していたりした結果、契約者が亡くなってから家族は初めて自宅が担保に入っていることを知ります。
特に、契約者ではない高齢の配偶者や、成人した子どもが同居していた場合に問題になりやすいです。金銭的な準備ができていないと、自宅を買い戻せず、住み慣れた家を失ってしまいます。

◼︎トラブルを避けるための対策
      • 契約の目的、仕組み、自宅売却の可能性などを家族全員に共有する
      • 弁護士などの専門家を交えて、家族全員で説明を受ける
      • 契約時に契約者が亡くなった後、または契約を引き継げるかを確認する

同居している家族が引き続き住み続けられるか、または契約を引き継げるかといった条項を、金融機関に具体的に確認しましょう。

 

事例4:相続の際に多額の借入が発覚した

リバースモーゲージの利用者が亡くなり、相続手続きを進める段階で、多額の借入金が存在していたことが初めて発覚するというケースもよくある事例です。
事例3と同様に、契約者である故人が、家族にリバースモーゲージの契約が情報共有されていない場合に起こります。
相続人は、故人の遺産として自宅を相続すると同時に、その自宅を担保にした借入金も承継することになります。
もし借入金が、自宅の売却額を上回る「オーバーローン」の状態だった場合、相続人は自宅を失うだけでなく、借金まで背負うことに。
このような状況を回避するため、相続放棄という手段を取るケースもありますが、その場合、他のすべての遺産も放棄せざるを得なくなります。

◼︎トラブルを避けるための対策
      • 家族全員での情報共有と同意を得ておく
      • 借入金の目的や使途も共有しておく
      • 遺言書を作成しておく
      • 弁護士や司法書士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家を交えておく

 

弁護士相談が必要な3つのケース

弁護士は、個人と金融機関との間の情報格差や交渉力の差を是正し、複雑な法的紛争において依頼者を代理できる唯一の専門家です。
特に、リバースモーゲージにおけるトラブル対応では、弁護士の介入が必須となるケースがあります。
こちらでは、弁護士相談が必要なケースを3つ紹介します。

 

ケース1:自宅売却を回避したい場合

弁護士は、金融機関に対し、契約解除や一括返済要求の不当性(説明義務違反など)を主張する法的な交渉が可能です。
もし競売手続きに入っている場合には、裁判所に対して、競売手続きの一時停止や担保権の実行方法に関する異議申し立てを行います。
こうすることで、自宅の売却を阻止または遅延させられ、この期間中に、自宅売却を回避するための条件変更の交渉を代理し、依頼者の生活再建をサポートします。

 

ケース2:配偶者の居住権を確保したい場合(契約者死亡時)

配偶者が連帯債務者になっておらず、自宅を失う場合、弁護士は配偶者の家に住み続けられる権利の有無を明確にし、金融機関との交渉を代行します。
配偶者名義での借り換え(自宅継承)が必要であれば、審査がスムーズに進むよう契約条件の適正化に向けたサポートが可能です。
万が一、借り換え審査が不承認となった場合であっても、短期的な賃貸借契約への切り替えなど、退去猶予のための粘り強い交渉を行い、配偶者の生活基盤を守ります。

 

ケース3:相続財産と債務を整理したい場合(相続発生後)

借入金の返済(リコース債務)が判明した場合、弁護士の最も重要な役割は、迅速な相続放棄の代行です。弁護士は相続財産の調査を行い、家庭裁判所への相続放棄申述を代行。
さらに、債務の存在を認識するのが遅れ、相続放棄の3ヶ月期限を徒過してしまった場合には、弁護士は複雑な法的手続きをもって相続放棄を目指します。
遺族が自宅売却や債務請求を通じて「リコース債務の存在を認識した時点」を法的に争うことになります。
期間徒過の正当な理由を裁判所に認めてもらうのは高度な専門業務です。正当な理由が認められれば、数十万円から数百万円、数千万円の返済を負わずに済みます。

 

弁護士に依頼する費用の内訳と相場

経済的な不安を抱える中で弁護士費用の支払いを考えるとなかなか踏み出せないという方もいらっしゃいます。
弁護士に依頼する際には、以下の費用が発生します。どういった費用なのかを押さえておきましょう。

  • 相談料:相談するための費用。多くの法律事務所では、初回無料相談を設けている。
  • 着手金:弁護士が案件に着手する際に支払う費用。案件の難易度や、依頼者が相手方に求める請求金額によって決まる。交渉段階であれば比較的低額だが、訴訟に移行すると高額になる。
  • 報酬金:成果に対する費用。依頼者が得た経済的利益の額(自宅売却回避による資産保全額、免除された債務額など)に応じて決定される。
  • 日当:日当は遠方への出張時などに発生する。
  • 実費:裁判所に納める印紙代、郵券代、書類収集費用などにかかる。

弁護士費用の主な内訳は以下の通りです。

項目 費用相場・税別
相談料
  • 初回:無料が多い
  • 2回目以降:30分あたり5,000円〜10,000円程度
着手金
  • 15万円〜請求額に応じて8%
    最低着手金額15万円
報酬金
  • 経済的利益の 10%〜16%程度
日当
  • 半日:30,000円〜50,000円
  • 1日:50,000円〜100,000円
実費
  • 数万円〜数十万円

費用はかかりますが、トラブルが深刻化し、訴訟に発展したり、期限を徒過したりする前に相談することで、対応にかかる時間と費用を最小限に抑えられます。
弁護士事務所では初回相談は無料のところもありますので、複数の法律事務所に相談し、相性や相談のしやすさもチェックしてみてください。
早期介入は、自宅の担保割れといった債務の拡大を防ぎ、高額な訴訟費用を回避できるため、早めに手を打つことをおすすめします。

 

リバースモーゲージの契約や相続のトラブルは弁護士が解決に導く

私は長年、家庭裁判所の裁判官として、多くの事例を見てきました。その経験から言えるのは、「知識」と「実務」の間には、大きなギャップがあるということ。
法律の知識だけでは、実際に運用する上での「落とし穴」や、親族間で不公平感が生まれるといった、リアルな問題には対応できません。
ご自身の将来、そして大切なご家族の将来を後悔なく守るためには、単なる制度の比較だけではなく、状況に合わせた具体的なシミュレーションが不可欠です。

契約内容に関する不当な一括返済要求や、自宅の売却・競売を防ぐための法的な交渉を金融機関に対して行います。
特に、配偶者が連帯債務者でない場合の居住権の確保や、契約解除された場合の生活再建サポートは弁護士の重要な役割です。
また、契約者が死亡し、相続人が自宅を失う危機にある場合も、借り換え交渉や担保権実行への異議申し立てを代理し、自宅売却の阻止または遅延を図ります。
これにより、ご依頼者が安心して生活を続けられるよう、最善の解決を目指します。
リバースモーゲージを巡るトラブルなら元裁判官の弁護士がいる和敬 稲吉法律事務所へご相談ください。
無料相談も受付中ですので、お問い合わせフォームよりお問い合わせをお待ちしております。

 

クライアントの相談にのる弁護士

稲吉 大輔 - 弁護士 –
・元裁判官
・現弁護士
・大阪弁護士会所属
元裁判官だからこそわかる、トラブルになる前の対策に強い弁護士。

上部へスクロール